常時見張りの徹底

航行時の船舶の動向や定置網など重要な見張りのポイントについてご紹介します。

航行時は、他の船舶の動向や浅瀬・定置網など周囲の水域の状況を継続して把握する必要があることから、常に徹底した見張りを実施することが重要です。

過去の事故事例

プレジャーボートとタンカーが衝突
プレジャーボートは周囲を見回したのみで以後見張りを怠ったまま航行を続け、衝突直前にタンカーに気づき回避動作をとったが間に合わずに衝突した。
タンカーは接近してくるプレジャーボートを発見したが自船が保持船と判断し逃避動作をとることなく航行を続けていたというケース。
漁船と自動車運搬船が衝突
漁船は網を入れ操業しつつ、漁獲物を選別しながら航行していたところ、衝突直前に自動車運搬船を発見、避けようとしたが間に合わずに衝突した。
自動車運搬船の航海士は航行中、前方に漁船を発見したが、衝突することはないだろうと判断しその後漁船を注視することなく航行を続けていた。

見張りのポイント

他船舶の動きを見張る

都市港湾エリアでは、常に本船や作業船、漁船などで混みあっています。

前方だけではなく横や斜め、後方から追い抜いていく船もありますので、接近してくる船を常時観察し、適切な判断、操船がとても重要です。

特に広島湾では、季節を問わずカキ筏を曳航している曳航船が多くみられます。曳航船とカキ筏はワイヤーで水面上でつながっていますので、曳航船を発見したら必ずカキ筏の後方を遠回りして航行してください。

海上(漁具)を見張る

航行エリアにある定置網やさし網、はえ縄などにも非常に注意が必要です。

これらがどこまで伸びているのか、このまま航行できるのか、すべてを回避して航行すべきなのかを判断する必要があります。

広島湾で多く見られるカキ筏付近を航行する場合も注意が必要です。カキ筏はワイヤーでつながれていますので、慣れるまではカキ筏の間は絶対航行しないでください。

カキ筏の角には浮標がありますので、必ず浮標の外側を航行してください。

事前に漁場情報を収集することも大事
初心者にとっては、定置網やのり網などの位置を把握して航行することは不安要素の1つでしょう。
その他漁具の種類や設置方法、曳き網などの漁法も地域によって異なるケースがありますから、自船の航行エリアでの漁法やどのような漁具が設置されているのかなどの情報を事前に把握することが、安全に航行するための第一歩です。
入手方法としては地元の海上保安庁で資料をもらうのが一般的ですが、さらに詳細な情報を入手したい場合は漁業協同組合を訪ねるのがおすすめです。

海上の障害物を見張る

海上の障害物で最も見つけにくいのが浮遊物です。

特に丸太のような木材は、ほとんどが水面下にある状態で浮いていますので発見が遅れてしまうケースがあります。

ロープや大きなビニール袋などは、プロペラに巻き込んだり船外機の吸水口をふさいでしまったりする可能性がありますので非常に危険です。

どんなに小さな浮遊物でも大きな事故につながる可能性がありますので、常に見張りを怠らずに安全な航行を心がけてください。

小さなレジャーボートを見張る

水域によってはシーカヤックやディンギー、ウィンドサーフィンなど、多くの人が様々なマリンレジャーを楽しんでいます。

そのようなエリアは避けて航行しますが、もし航行中に発見した場合は、レジャーボートの動きを見ながら安全なコースを取り、安全な測度で通り抜けてください。

ディンギーやウィンドサーフィンなどは、急に方向転換をして進行方向を変えるケースがありますし、シーカヤックではポジションが低いので逆行や波間に入ると発見が遅れる可能性があります。

お互い楽しいマリンレジャーを楽しむためにも、常に周囲のレジャーボートには注意を払って航行してください。

天気の変化を見張る

漁船は晴天でも、西の空に黒い雲を確認すると、漁を中止して一斉に港に帰ります。これは急速に発達した積乱雲が近づくことで、雨や風が強まり時化ることを予測してのことです。

巨大なものでは強烈なダウンバーストや雷を伴うケースもあり、非常に危険です。

ゲリラ豪雨やスーパーセルなどは低気圧や台風などと違って予測が非常に難しいのですが、条件がそろえばどのエリアでも発生する可能性があります。

常に天気の様子や近くの漁船の動きを見張ることも安全な航行のためには必要不可欠です。意識して取り組みましょう。

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